わが家の洗濯機が突如動かなくなりましたので
買い替えをすることに…!
電化製品の買い替えってほんとに……(大変)……なのですが
耐用年数が10年でそれ以上を超えると必然的というか
良く持った方だという話がもっぱらなので
成人後の人生60年とか想像すると
六回は買い換えなければならない計算になるのかもしれません
洗濯機に限らず、冷蔵庫とかコンロとかレンジとか…なのかなぁ
給湯器も暖房もそうですね…
とはいえ、15年持てば御の字なのかな?…と思いつつ
わが家の愛猫おひめよりも若かった(洗濯機が)、と身内が教えてくれました
うちのおひめには長生きをしてほしいです
★★★
水堂とらくファン作品・空の民草の民シリーズより
幻想水滸伝2【カミマイ】妄想16
カミュー×マイクロトフ
憩いの夜
……できた
完成した、というのは、騎士団長の執務室の改装の話ではない
それはもう大分前にやり終えており、マイクロトフを一瞬呆けさせたのはそんなことではなかった
彼らの団長が座す室内にやって来て青騎士たちの目を輝かせたのは、ロックアックス式サウナがデュナンの同盟軍本拠地に設置し終わったという報告だ
これにはマイクロトフ以下青騎士たちによる盟主への説得というか力説というか働きかけが功を奏して、騎士団が配置された城の一角に大浴場とは言えないけれどそれなりの人数を入れられる施設を作ることに成功した
石と岩とレンガを組んで作った秘密基地のような岩屋に窓と扉がついているだけのような一見簡素な設えだったが、中は結構広い
水風呂は外に設置してあり、そこには屋根があるので一応雨はしのげる
ロックアックス式のサウナは焼いた石を準備してそれに水をかけるだけなので、場所と建物さえあれば簡単に作れた
もちろん熱した石の交換は重労働だが、長時間持つように石材を厳選した
入れば体が温まり、体温調節は水風呂で事足りる
まさに、簡易なリラクゼーションと言っても過言ではない、ロックアックス出身者にとっての憩いの施設の完成は正に朗報だった
今から入れます、との連絡を受けて、マイクロトフはさすがに一番風呂ならぬ一番サウナは労をねぎらう意味で部下たちに先に入るよう勧めた
サウナという言葉を聞いて、マイクロトフの本心は浮き足立ったが、その姿を配下の騎士たちの手前、見せるわけにもいかない
後始末の仕方も知っていたので、自分は最後でいいと断った
疲れている者や夜勤明けの就寝前の者たちが先に入るよう指示を出し、自らは夜に入ろうとそう決めた
そして、思い出したように付け加えた
「完成の報告は、赤騎士団にも伝えてくれ」
マチルダ騎士団が誇るサウナは、騎士団であれば誰もが遠慮なく使っていいし、誰の入浴も歓迎する
ただ、使用や作法、健康面での注意は慣れている者が必ず周知するように、と付け加えて
見張り番を立てる必要はないが、使い方くらいは紙に書いて入口に貼っておいても良いかもしれない
サウナと聞いてからの青騎士団長の血色は、顔の表情と相まって、めちゃめちゃ良い男振りだったので、周りを惚れ惚れとさせたことは言うまでもない
一日の業務と依頼をきっちりと片付けたのち、机の上を綺麗にして、青の団長であるマイクロトフは意気揚々と新設された風呂場へ向かった
さすがに混雑をしていたようだが、夕食の時刻を過ぎてからしばらくすると、ピークは徐々におさまったようだ
脱衣所ではすでに身綺麗になった騎士たちで溢れている
最高の気分転換でしたと晴れやかな顔を見せる面々を見送り、マイクロトフも脱いだ騎士服を手早くたたみ、ブーツを置いて石造りの建物のドアを開けた
居合わせた騎士たちと透明な湯気の中で談笑をしていたマイクロトフが何気なく戸口に目をやったのは、ほんの偶然だった
そろそろ夜も更けた頃に、また一人、足を踏み入れる者があったからだ
「カミュー」
マイクロトフの声には、珍しいなという響きがあった
「おまえの服が脱衣所にあるのを見つけたのでね」
視界に現れたのは、騎士団の中では珍しい肌の色を持った親友の姿だ
さすがに青の長衣は団長職のみ身につけることができる代物だったため、かなり目立っていたようだ
綺麗に畳んだつもりだったのだが、確かに染まった青色の範囲が通常の騎士服よりも断然多いので、見つけやすかったのだろう
あとはブーツのサイズでわかったとカミューに言われ、マイクロトフを含めた一同の首を一様に傾げさせた
男は辺りを見回し、居並ぶ騎士たちの顔を確認した
「周知は受けたが、赤騎士団は私一人のようだね」
カミューはタオルを巻いた腰に優雅に手を当て、軽く嘆息をしたようだ
単に青騎士が作ったと聞いたので、初日に入るのを遠慮しただけかもしれない
そうは思いつつも、マチルダの騎士は青だけではないのだからと思い直したようだ
「明日、私の方からも彼らに伝えておくとしよう」
折角の施設なのだから騎士たち全員が利用した方が賢明だと
「是非そうしてくれ。ここに来れば、自然と会話も広がり、人の輪も広がる」
色の別なく裸の付き合いができるぞと、マイクロトフは笑顔を見せた
カミューはそれにちらりと一瞥を送ると、「おまえはサウナの申し子だよ」と言って肩を竦めた
根っからのサウナ好きはマイクロトフだけに限ったわけではなかったが
「…昔から思っていたことだが」
隣に腰掛けた親友に、すっかり忘れていたとはさすがに言うことはできなかったが、マイクロトフは何気なく声をかけた
「カミューは優男ではないのだな」
着瘦せをするのか、はたまた愛刀が細身だからかどうかはわからないが、男はよくそう評される
背丈はマイクロトフの方がわずかに高いが、騎士たちの中でも彼らは長身の部類に入った
あとは身のこなし方が原因か、と考えながら、改めてカミューの半身をマイクロトフはしげしげと眺めた
入浴中の面々同様、カミューも半裸というか足のふくらはぎまで布で覆われているが、上体のバランスはマイクロトフの目から見ても綺麗なものだ
両肩にもしっかりと肉がつき、胸や鎖骨にも無駄のない筋肉がついている
マイクロトフより若干柔らかそうな肉質だが、元々の地肌がわずかに濃いため異郷の雰囲気が強い
カミューの柔和な印象を与える顔立ちと比較して、かなり男性的だと言えた
マイクロトフは評論家ではないので細かなことは言えないが、立派に雄の体をしている
そんな気がした
男同士だし、見習の寄宿舎生活時代に他のメンバーたちと一緒に風呂に入った経験があるので、マイクロトフには気恥ずかしさというものがない
裸の付き合いは青騎士団では珍しくないものだし、恥じらう方が異常に映る
どういう意味かな?、と憐れむような目線がカミューから投げかけられる
具体的な理由までは念頭になかったので言葉に詰まり、マイクロトフは少し眉を寄せた
けれど思ったことを臆することなく口にした
「カミューは元から肉付きがいいだろう。士官学校時代から、すでに鍛えられていたからな」
当時を回想するに、同年やそれに近い少年たちと比べてもカミューは上背があって目立っていたし、体も完全に仕上がっていた
鍛錬を積んだというよりも、日々の生活で培われてでもいたかのように
その理由は極単純なことだよ、とカミューは言った
苦笑のようなその表情はやはり、マイクロトフを気の毒だと思っているようにも映る
「元々私の実家は裕福と言える家系ではなかったので、幼い頃から働きに出ていた。思いつく理由はそれだけだよ」
年少者といえど、力仕事でなくとも一日中体を動かし家畜の世話や店を手伝うことはできる
特にカミューの故郷ではよほどの名家でなければ大抵の子どもは、体がある程度出来上がれば稼ぎに出ていたと聞く
そこで早くから社会性と自立心が養われ、自然と必要な場所に肉がつき力を養うことができたと
ロックアックス生まれのおまえとは環境が違うのだと言っているようだった
資質という部分もなかったわけではないだろうが、そもそもが違うのだとカミューは言った
おかげで休んでも筋力は衰えないし、今も少ない鍛錬で肉体の維持ができると
マイクロトフは思わず唸ってしまった
羨ましい限りだと言ってしまいたくなったが、働かねばならなかった境遇が半ば慣習化していたという文化の違いを同時に痛感せずにはいられなかったからだ
カミューの故郷の方針と、こちらの生活は違うのだなと改めて思う
「俺は剣を振るのが子どもの頃から趣味だった。だから鍛錬を苦だと思った経験はないが…」
体を動かしているおまえは水を得た魚のようだからね、と男は微笑った
そして腰掛けた椅子の真横から手で顎を下から掬われ、何事かと目線をカミューに向ける
すると、話し込んでいるうちに二人きりになったぞ、と男は周囲に視線を巡らせて示した
マイクロトフは、今度こそ絶句した
用が済んだからというには、人があまりにもきれいにいなくなり過ぎている
話をしていたカミューとマイクロトフ以外、いつの間にかサウナの中は無人と化していた
「大方、私たちに気を利かせてくれたんだろう」
マイクロトフは思わず額を押さえたくなった
「…それは一体、何の冗談だ…」
騎士たちが団長相手に回す気など、仕事の場面だけで十分だ
余計な詮索をされたのであれば、明日弁解をしなければならない
気にするな、と
無茶なことを言っている自覚はありつつも、言わなければ気が済まないと思った
その瞬間、マイクロトフは別のことに思い至った
そういえば、と、カミューに問う
口調には、どこか気遣うような気配があった
「あれから、よく眠れているのか…?」
マイクロトフは、赤騎士団長室で就寝するようになったカミューの様子を尋ねた
寝床が同室だった頃は、どうやら寝付くまで大分難儀をしていたようだ
自分の所為であると決め付けてはいなかったが、もしかするとと思わなくもない
それをカミューに直接問うことは、それこそ男が以前言った野暮というものだろう
カミューに欲されている
そのことはマイクロトフも常に自覚しなければならない
それでもカミューは待っていてくれているのだから
誓わせたのはこちらだ
承諾したのがカミューであっても
おかげさまでね、と友人は答えた
マイクロトフの顎の下にはまだカミューの長い指が触れている
首が疲れると思ったが、じっと男を見つめることをやめる気にはならなかった
測るようなマイクロトフの眼差しに、カミューは苦笑を漏らした
そんな顔で見つめられたら、ただで帰したくなくなってしまうよ、と言って
マイクロトフは意表を突かれたのか、む、とわずかに顔をしかめた
しかし、逃げ出す気はなかった
それ以上のことはできないとわかっているからこその度胸だったのかもしれない
意外とこいつは性格がわるいな、とカミューは本気で思ったが、表には出さなかった
「では、しばらくここに留まろう」
そう言って、マイクロトフはカミューを見た
マイクロトフにとっての就寝の時間はとっくに過ぎていたが、後片付けも残っていることだし、焼き石が冷めるまで待ってもいいと考えたのだろう
何よりもカミューと過ごす時間が大切だと思った
わずかに湿った明るい色の頭が持たれ、マイクロトフの肩に髪が触れる
相手の心の内を占め、また独占しているということがこんなに快いことだとは思わなかった
互いにそれ以上踏み込むことを禁じているからだろうか
カミューは内心で焦れているだろうに、勝手な話だが、満たされる
危うい綱渡りの上にいるというのに、この場に二人しか残されていないことに安堵する
帰したくはないな、とカミューから低い呟きが聞こえる
そうだな、と同意を示すことは余計に相手を苦しめるだけだろうと思った
体の脇に回ったカミューの腕に触れ、マイクロトフは再び窓の外を眺めた
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