右手を痛めながら(もう………_| ̄|○)
カミマイの長編ネイティブシリーズの完結編である
『シェイド』の続きを書いていて、一応大まかな道筋を書き終わりました…!
勢いに乗らないと書けない!!!
…ということで、ネイティブシリーズはエロ本なので(ぶっちゃけ、『シェイド』がそれです)
エロ本はエロ本らしくDLsiteで販売しようかな…とやっぱり思ってしまいますね…
小説らしく、縦読みできる構成にしようかと
現在検討中です
わが家のカミュー×マイクロトフのネイティブシリーズは、エロ本です(きっぱり)
ということで、カミュー×マイクロトフによる
原作的な流れで進む、空の民草の民シリーズは最終話の更新です
長いです!
pixivでいいねやブックマークをしてくださった方には
大変ありがとうございます…!!
通常版のカミューの恋が(成就して)おわったー!!!
やったよー!
幸せにねー!!!…という感じであります…
…ちなみに、空の民草の民に出てくる
ちいさいカミューとマイクロトフは何だったのか、という疑問についてですが
彼らの潜在意識というか、恋心とかそういうものが
見えない形をとったのかなぁ…と思います
『ニェーバ/空』を読むと、このなんじゃらほい的な部分が
ちょっとわかります
わからないかもしれませんが、
幼い時分の、なんか、あやふやな記憶…という感じになるのかなと思います
でもよくわからない(苦笑)
少年カミューとちっちゃいマイクロトフには
明らかな設定はなくて、どんな角度から切り取ってみても
とにかくカミューがマイクロトフにぞっこんなのが
自分の中のカミマイですね
それが小さな少年の姿になって語られているのかなぁ………わからん
カミマイの物語の始まりは、
『カミューがマイクロトフに恋をした』という、その一言に尽きると思います
それが本能的であれ計算ずくであれ、
単に見たままで好きだ!、というそれそのものだけであれ
それがやっぱりカップリング作品を書く、えがき出したいという
動機の根源にあると思います
本当に、どの作品をとっても、自分にはそれだけが真理にして発露の根源です…!
自己満足のかたまりでしかないですが、楽しんでいただけておりましたら嬉しいです
煩悩が超長くて、長く続いてしまって、本当に申し訳ないです…!
お付き合いくださる方には本当に感謝申し上げます…!
★★★
水堂とらくファン作品・空の民草の民シリーズより
幻想水滸伝2【カミマイ】妄想28(最終話)
カミュー×マイクロトフ
未来の縮図
すっかり寝入ってしまっていたマイクロトフは、朝も遅い時刻に覚醒した
体の節々に経験したことのない痛みが残っていて思わず顔をしかめたが、意外とわるくない感覚だった
そのうち慣れるだろうと、実戦の経験からその手ごたえを感じ、目をつぶる
昨夜の、というか、午後からのカミューは凄まじかったな、と我が身に起こったこととはいえ心底から実感する
自分でさえ見たことのない男の夜の姿というか、濡れ場というか、本領を遺憾なく発揮したカミューの姿だった
ともすれば、再びカミューに挑まれてでもいるかのような疼きが体の奥深くに鮮明な記憶となってよみがえる
そんな密やかな陶酔と酩酊の繰り返しを全身で持て余しながら、あれは熱かったな、とマイクロトフは思い出すようにひとりごちた
マイクロトフはカミューを乗せたのが初めてで、要するに初体験だった
当然だが、カミュー以外の男を相手に朝を迎えた験しはない
…しかも初夜を
相手の持久力が半端なかったが、あれも経験による差なのだろうか
羨ましいことだと思いつつ、寝返りを打とうとしたその肩に、長い指が添えられた
やはり今日は休日にすることに決めたよ、と
告げるや否や、ベッドの横に潜り込んできた半裸の男は、マイクロトフの剥き出しの肌に吸いつくように、よどみのない動きで後ろからぴたりと身を添わせた
「移住の申請に行く時は、私も同行するよ」
心地よいトーンのカミューの声が、そのまま耳の中に吸い込まれてゆく
む、と、マイクロトフは癖で口を噤んだ
「…そうしてもらえると助かる」
カミューはマイクロトフのうなじに近い短い髪の裾を嗅ぐように優美なかんばせを寄せて、満足そうに微笑んだ
カミューの動きの一つひとつが、マイクロトフの夜の残り香を楽しんでいるように素肌の表面をくすぐる
「私の花嫁殿は、事前の用意を何もしてこなかったようだからね」
花嫁とは誰のことだ?、とツッコむ真似すら野暮だと察し、マイクロトフは普段通りに答えた
自分の放つ声が幾分掠れているように聞こえるのは、おそらく気のせいではない
「愛馬はあとで引き取りに向かうが…」
ロックアックスから連れてきた唯一の供は、休ませる意図で後続の商隊に前金を払って任せてきたので、マイクロトフは後日彼らの元へ向かわなければならなかった
…つまり俺はカミューのところへ、馬と身一つで嫁いできたのか
改めてそう考えると、若干押しかけた感は少なくない
せめてそこは花婿同士にしてくれ、と思ったが、マイクロトフはカミューの好きなように言わせておくことにした
閨での関係もそうだが、本気になったカミューの雄として本分が、自分は存外好きなのだとマイクロトフは自覚した
これまで散々乳繰り合った本番なしの前戯だけでも、相手のことを十分に理解していると思い込んでいたはずだが、やはりあれは互いに出方を伺う小手調べのようなものだったのだろう
確かめ合う方法としては無意味で無価値ではないが、真の実力を発揮できていたわけではないのだな、と
特にカミューはそうなのだろう
あれでは、どんな貴婦人も骨抜きになってしまう
体裁を繕う飾り言葉などなくても、身をもって伝えてくる動きや接触の数々が、触れる熱、揺さぶる律動とその角度が、優しさと手堅さが、マイクロトフの知識や経験を一瞬で凌駕し、塗り替えた
互いを手に入れているという実感を、カミューがもたらした生々しい性交の数々で知った
敗北感も優越感もないそれは、マイクロトフに当たり前のような、それでいて新鮮な驚きを刻みつけた
自分が過去に経たはずの異性との行為は何だったのかと、自問自答しそうになったほどだ
同時に、自身を抱いた相手を、おそろしい男だな、と思ったが、口にはしなかった
おそらくカミューが一番驚いているだろう
本命相手には何と理由をつけても最後まで止まらなくなるのだという事実を、マイクロトフも骨身に沁みてわかった
知らされてしまった、とも言える
「働き口を探していると思うが、おまえがここでやりたいことの目処はついているのか?」
肩や首に端正な鼻先をこすり付けながら、緩やかな癖のある髪質の男が尋ねる
まるで物腰の柔らかな大きな馬だな、と思いながら、マイクロトフはカミューを感じた
のしかかってくる重さをさして苦だと思わず、裸の上半身をさらしたまま、マイクロトフは少し考えた
「…馬の世話は好きだが、知識と経験を欠いた俺では本業の者に遠く及ばん。俺にできるのは、読み書きの指導と剣の型の手本になるくらいが関の山だ」
両手剣は実践としては扱えないが、基本の型や動きを見てやることはできるし、実際に教えることはできる
とはいえ、教本通りではあるし、実戦の相手をしてやれるわけではない
「年少者に手ほどきをする口なら、大いにありそうだよ」
おまえほどの腕なら、と男は語る
連合領内に限らず、世襲などの安定した地位を得られるのは一定の人種の中でも限られたわずかだ
身を立てるための術を、幼いうちから学ばんとする意欲の高い次男坊以下は多い
「たまに、私の助手をお願いしたいのですが?」
元騎士殿、と、取って付けたような敬称を口にする
「…善処はするが、特権乱用になるのではないか…?」
元マチルダ騎士団長という肩書きは、マイクロトフにとってはすでに過去のものであるらしい
「丁度、私以上に有能な助手を探している最中だったのでね」
マイクロトフの腰に回されたカミューの手に力が加わり、密着が深まる
「だったら尚更、俺では力不足だと思うぞ」
カミューより優秀という条件付きなら
謙遜でも何でもない事実を聞いて、喉の奥で男は笑ったようだ
「…お褒めいただき恐悦至極です、騎士殿」
『元』だ、と言って、マイクロトフは離れがたいように力強く抱きしめてくるカミューの髪に口づけた
カミューは少年が走ってくるのを待っていた
待ち望んでいた
乾いた大地の草原の上を、ぱたぱたと軽快な足音を立てて、小さな頭が目の前にたどり着く
相手は、息を弾ませてこう言った
「遅くなった、すまない、カミュー」
言葉遣いがまるで子どもらしくない
相変わらずだ、と思いつつ、その手を取った
当たり前のようにぎゅっと握り返してくる大きな手のひらを、心の底から愛しい、と思った
「…ようやく気が済んだ?」
待ちかねたよ、と言外に含ませる
責めてはいなかったが、大分呆れたような調子だった
もう大丈夫だ、と、黒髪の小さな弟は言った
だから、カミューとともに帰る、と
そう言って、迷いのない足取りで前進を始める
カミューは隣で歩きながら、マイクロトフの綺麗なつむじを見下ろした
「愛してるんだよ」と言う
マイクロトフも、「俺もカミューを愛している」と答える
それだけでもう十分だった
カミューの心は満たされた
本当にもう、長いこと離れていたけれど、小さなマイクロトフはカミューのことを覚えていた
ここに、帰ってきた
「…うちへ帰ろう」
そして、一緒に母が作った手料理を食べよう
こくりと大きくかぶりを振って、マイクロトフはカミューを見上げた
カミューは目を細めた
万感の思いを乗せて、こう言った
「おかえり、マイクロトフ」
ただいま、カミュー、と
見上げる大きな瞳がたくさんの光を湛えて微笑んだ
おしまい
空の民草の民シリーズは、既刊のカミマイ同人誌『ニェーバ/空』と『ポーリェ/野』の続きで、完結編として『空の民草の民』のタイトルで出すはずだったものです
三部作の一作目はカミマイの少年時代で、二作目はカミマイの騎士時代、この三作目でフィナーレとなります
古いジャンルですが、活動当時の気持ちを思い出しながら今の頭の中に浮かぶカミュー×マイクロトフの風景や情景を書き上げさせていただきました
最後まで読んでくださった方には心から御礼申し上げます
おまけ
マイクロトフは、生まれて初めてグラスランドの住人を見たわけではない
当時マチルダと国交がなかったとはいえ、グラスランドと一括りに言っても、広大な土地には多種多様な領地とそこに住む人々が存在した
何しろ友人がそこの出身だったのだから当然初見ではなかったし、同盟軍にもその地方の出身者がいたのだが、やはりロックアックスとは何もかもが違う
連合を代表する騎士服に身を包んだカミューを見るのは、マイクロトフにとって初めてのことだった
再会した時は上着を脱いだ出で立ちだったので気づかなかったが、機能性に特化している意匠であるとすぐに勘付いた
マイクロトフなどからすれば、丈の短いジャケットは足捌きが容易そうで、馬に乗りやすそうだ、と思えたからだ
そういえば、カミューは昔から馬術を得意としていた
マチルダ騎士団の手本通りではなかったが、馬の扱いも手綱の操作も見事で、新馬一体となる独特の騎馬術で、士官生時代の試験の成績もすこぶる良かった
カミューがかつて率いた赤騎士団そのものも機動性を重視し、一気呵成に陣を展開したり、敵に気づかれぬよう背後を取り包囲を行ったりと、動きが早いことが特徴だ
隠密活動、密使や調査など、細部に関わる仕事も多かったと聞く
青騎士が前線に出て戦うイメージが強いが、どちらかといえばマチルダ自体は護りの騎士団だ
都市同盟における軍事的な要とも言える
それを代表する青騎士団は防衛のための布陣が多く、一方の赤騎士が攻撃に抜きん出た者たちで編成された組織だった
如何にして戦いの犠牲を最小限にするのかが青騎士団の長に課せられた重要な役割だと、マイクロトフは先任の団長の補佐役から徹底的に教え込まれた経験がある
現役時代はそれを忠実に、真摯に守り続けてきたが、もちろんマイクロトフ自身は防戦ばかりを得意にする方ではなかった
しかし、傷ついた部下を背負って戦場を駆けたり、部隊に所属していた頃は後詰めやしんがりを務めたりと、切り開く側というよりも、活路を見出し、仲間の命を助ける場面の方が確実に多かった
逆にカミューとカミューが率いる赤騎士団は、明らかに敵を攻め崩すための能力を有し、赤騎士たちはそれに特化していた
色は体を表すとは、よく言ったものだ
カミュー自身、口調や物腰から一見柔和で温和だと思われがちだが、戦場において、また軍議に於いても、赤騎士団の特徴である攻めの攻略を最も得意とし、それを実践して数々の功績をあげてきた
カミューは普段から決して好戦的というわけではなかったが、男が使役する紋章も片手剣も、何者かを護るための手段ではない、と言えばわかりやすいだろうか
…大分話が逸れたが、マチルダの模範的な騎士服の裾が長い理由は、雪深い気候的なものもあるが、戦場や行軍で脚を保護する目的のためだ
もちろん団服であるので、様式美としての儀礼的な意味もあるのだろう
しかし、カマロではそれがない
機動力重視のスタイルはどうやら故郷に根ざした戦術であり、元々カミューの得意分野であったようだ
なるほどな、と思い、感心しながらしげしげと出勤前の身繕いを整えているカミューの後ろ姿を眺めていると、姿見の鏡の前で男がくるりと身を翻した
品のよい調度品が並ぶ室内で、左肩にかかった薄紫のマントが羽のようにひらめく
惚れ直したか?、とでも確認するような満面の笑みがその頬には浮かんでいた
マイクロトフを振り向いた男は、実にすっきりとしたいい顔をしている
長年抱えてきた念願が遂に成就したと言わんばかりの、余裕綽々の笑みだ
それもそうだろう、あれだけやれば満足もするだろう
散々カミューに翻弄され、知らなかった自身の欲望を骨の髄まで知らされる羽目になったマイクロトフだけはそう思った
「…さて、上司たちにおまえを紹介しに行くか」
対するマイクロトフの恰好は、カミューと再会した時と変わらない
マチルダから持ち込んだ、彼の私服だ
紹介、とカミューは言ったが、すでに権限を失っているとはいえ、ふるさとと行き交いのある領地に足を踏み入れたのであれば、正式にでなくとも挨拶をするのが筋なのだろう
だがマイクロトフは地元からの手土産を持参したわけでもなく、謁見や交渉のために訪れたのでもない
況してや婚姻の報告など
「私の伴侶だと説明をした方が、周囲に波風が立たないと思うが」
突飛な発言を耳にして、カミュー、と名を呼び、マイクロトフは平静を装ってたしなめた
マイクロトフの格式高い価値観とは異なり、カマロでは自由恋愛が容認されているのかもしれないとは思いつつも、言わずには居れなかった
「おまえが良くても、俺がロックアックスの恥になる」
かつての最高指導者が、退役したのち嫁ぎ先へ身を寄せたなどという風評が立っては、マチルダにとって良い迷惑だ
かと言って、共に暮らす仲だということは、少なくともこの土地で隠し通すことは難しいだろう、と
対する側は、ありのままの事実を言った
尤もな意見を聞いて、それは事実だから構わん、とマイクロトフは強気に返した
マイクロトフとて、ここでは誰に憚ることもないからだ
故国であるマチルダにさえ迷惑がかからなければ
「だからこそ、おまえにわるい虫がつかないよう、先に牽制をしておく必要がある」
「…………」
俺を襲いたいなどと言う輩は、この世界のどこを探してもカミューの他にはいない
マイクロトフはそう断言したそうな顔つきだったが、男は知っている
マイクロトフは、周りの目というものに全く頓着しない堅物の石頭なので、何もわかっていないだけだ
青騎士たちのマイクロトフを中心に置いた団結力に関しては、体育会系のノリなので許そう
はっきり言って、マイクロトフが率いた青騎士団はスポ根アニメの様相に近かった
そもそもマイクロトフ自体が、配下の騎士たちを身を挺して守ろうとする気骨のある騎士団長様だ
そんな人望ある上司をみすみす死なせるわけにはいかないという美しい騎士道精神が、彼の周囲には蔓延っている
その実態というのはかなり有名で、マイクロトフが負傷する原因の多くは自らの無鉄砲な行動ではなく、部下や領民を庇って矢面に立った結果だ
無論、団長職としての方針もあるのだろうが、何よりも守るべき人命を重んじるマイクロトフならではの行動だった
無茶の大半は青騎士や住民の救助が優先で、彼の補佐役たちはマイクロトフが重傷を負わないように彼を援護、護衛し、時にストッパーとなり、命令とあれば代行等の代役をも務める
ゆえに団長補佐の執行部に在籍した者の責任は重大であり、部隊長同様またはそれ以上の判断力と実力を求められた
そんな彼らの、マイクロトフを中心に据えた結束力は正直侮ることができない
団長を守護し、支えるという使命感の下で団結しているような騎士団だった
そんな彼がひとたび城下におりれば、マイクロトフを密かに慕う子女の何と多いことか
しかもマイクロトフは騎士見習だった当時は疎か、団長位に就いてからも、騎士服の上着を脱いで街のこどもらの相手をして遊ぶことが多かった
ゆえに、すぐに「マイクロトフ様」と市井の人々から声をかけられる
カミューもたまに遊んだが、なぜか自分はご婦人方によく捕まる
自然と少年たちの間ではマイクロトフの人気が高まり、そばに寄る勇気のない少女や淑女たちは思慕の眼差しでひたむきにマイクロトフだけを見つめている有様だ
本人が気がつかないのであれば何の問題もない
だが、カミューは意外と嫉妬深かった
「俺が気にかけているのは、おまえだけだというのにか?」
マイクロトフは驚いた様子で黒い眼を見開いた
確かにカミューが数多の婦女子の相手を恭しい態度でしている姿には、マイクロトフとて忿懣やる方ない思いをすることはある
しかしカミューの対応はいやらしくない上に紳士的で、最後まで丁寧でありながらあっさりしているので、却ってあの神対応は俺も見習わなければな、と思い改める
男子から尊敬の眼差しで見られているのも、カミューであれば仕方がない、と思わなくもない
なのに、カミューは俺が許せないと
「おまえを愛する者は、私一人で良い」
眉ひとつ動かさず、真顔でそう説かれた
熱烈な愛の告白にも聞こえたが、居直っているようにも取れる
「カミュー…」
見かけによらず心が狭いな、とマイクロトフは呆れ顔で言った
自分もある部分ではこの男同様に埒も飽かないことに固執するが、嫉妬や妬みの心は精進には繋がらないという気概の方が強い
それは当然だと、機嫌を損ねた風もなくカミューは横柄に返した
「私はおまえに、昔から恋をしているのだからね。…私以外の誰にもおまえを渡す気はないし、誰だろうとおまえに触れさせたくもない」
愛し愛されているのとはまた別の話だと、恥ずかしげもなく公言する
時を経ても、何を得ても失っても、変わらない想いがそこにある、と
「…………」
確かにそうした信念というか思い込みというのはあるのだろう
根幹部分で変わらないものというのは
それがカミューにとっての自分だというのなら、もはやマイクロトフは何も言う気になれなかった
体ごと何もかも絆されたという自覚もあるし、そんなカミューが好きなのだとわかっていたからだ
マイクロトフは、カミューを理解することを諦めた
今更この男を自分が変えられるとも思わない
カミューは自身などよりよっぽど深慮ある騎士だからだ
カミューの本音を聞いて若干頬が赤らんでしまった気もするが、マイクロトフは敢えて反論しなかった
それよりも、もっとこちらからもカミューを愛してやらなければならないのだろう
愛する者の世話を焼くのが好きだというのならカミューの好きに焼かせて、嫉妬などできなくなるほど忙しくさせてやればいい
あちらが納得するまで、こちらからも愛してやればいい
欲しいというなら、カミューの望むありとあらゆるものを与えてやればいい
カミューが満たされるまで、徹底的に相手をしてやればいい
カミューと共に歩むために、自分はここに来たのだから
休んでいる暇などない
マイクロトフは自らに言い聞かせた
カミューは、マイクロトフを見つめて微笑っている
大地を渡る風のような爽やかさで、胸に宿した熱を鮮やかな色の眸に湛えて見つめている
それを見るマイクロトフの表情は、一点の曇りもなく輝いていた
晴れ渡るロックアックスの空が、そこにはあった
空の民草の民・おわり
DLsiteがるまにさんで、
サークル・はりこのとら紙老虎の作品を
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