筆が進むカミマイです…^^;
★★★
水堂とらくファン作品・空の民草の民シリーズより
幻想水滸伝2【カミマイ】妄想9
カミュー×マイクロトフ
始まりの兆し
これは青騎士の管轄ではない
マイクロトフは即断した
持ち回りで政務室に詰める担当騎士の一人が見つけたという書類を目にするなり、青い騎士団長はこれを携え判断を仰ぎに訪れた自身の補佐役と同じことを言った
とある要人の身辺警護と調査
会場や施設の警備に当たるのであれば青騎士も駆り出され担当することも多いが、諜報の類は赤騎士が請け負う仕事だ
どうやら騎士団内の各部署へ文書を分ける際に誤って混ぜてしまったのだろう
「急ぎ、赤騎士団へ届けてまいります」
政務室に集まった団長の親衛隊ともいうべき補佐の一人が前へ進み出る
「…いや」
俺が行く、とマイクロトフはきっぱりと言い放った
おそらく内容からして、団長以下の騎士に任せて良い代物ではないと見抜いたからだ
特に諜報関係は極秘であることが多く、漏洩を防ぐ目的で人目を避けて策議を開き、適任者を選んで内々で手配をする必要がある
厳選の上、限られたメンバーでチームが組まれるはずだ
それらの人員を選定し、配備するのは赤の騎士団長だと決まっている
他の誰にも任せることのできない、責任者としての職務だ
ゆえに騎士団の上層部でも一部にしか知らされない可能性があることから、マイクロトフが直接カミューに手渡すことを決意した
「承知しました、お気をつけて」
同じロックアックス城に勤める騎士であるとはいえ、赤騎士団は自分たちよりも上の機関だ
横並びで各騎士団が牽制し合うのではなく、飽くまで青騎士は騎士団の礎であり、最終的な決定権は白騎士団にある
赤騎士は白騎士団の片腕となり、青騎士は白騎士団の足となる
首脳陣は白騎士に集まるのが、マチルダ騎士団の独特の編成と歴史だ
無論、白騎士が独断と独裁の道を歩まぬよう、各団長が見張る役目もないわけではなかったが、それは飽くまで建前の上での話だ
少なくとも、現状ではそうなっている
実際には権限のほとんどが目に見える形で白騎士団長の元に集約されていた
それらを赤と青の騎士団長は代々危険視をしており、双方が内密に話し合うことも少なくなかった
しかしそれを離反の心ありとして摘発された過去がある
マイクロトフの前任は早々に予見して、自らの後継を選んだと聞く
多くは団長職の退任に留まらず騎士の名誉を剥奪されたが、赤騎士に白騎士団の仕事の一部を任せたことで内外のバランスを取ったということにして、その場は丸く治められた
だがすべて建前上、見た目だけの話で、結局は指令を出すのも辞令を行うのも白騎士団長の名の下で、最高の権限を白騎士たちが独占している事実に変わりはなかった
現団長職であるカミューとマイクロトフの親交に最初から厳しい目が注がれているのには、そうした理由があった
とはいえ、カミューは上から求められている以上の成果を挙げているので、白騎士団が表立って男の動向を非難することも問い詰めることもできない
足繁く青騎士団の管轄に足を踏み入れ、すぐに出てはまたそこへ向かう
その繰り返しに、不審や不快感を示す上部の連中もいるだろう
とはいえ、精々大量の依頼文書を押し付けて、嫌がらせをする程度が関の山だ
が、カミューからすれば、その行為は白騎士団の形骸化を早めるだけの処置でしかなかった
無能が本当に外側を着飾るだけしか能がない真の能無しの集団に成り果てるのだとすれば、目も当てられない惨状になる
往く往くはマチルダ騎士団そのものを破綻させかねない
カミューはたまに赤騎士団の執務室を抜け出してロックアックス城を散策し、静かにその様を見守っている節がある
情熱に燃えた眼を、長く柔らかい前髪で密かに隠しながら
マイクロトフはマチルダの今後に関して、カミューと語り合いたいと思うことは少なくない
腹を割って、膝を突き合わせて心ゆくまで議論したい
しかし今の自分たちの立場ではそれも騎士団への背反行為だと見做され、告発されてしまうのだろう
このままでいいはずがない
私情を挟まない部分でも、カミューに対してマイクロトフは思うところがあった
もし
もし、マチルダが彼らを裏切ることがあれば、その時は
おまえは
俺は
どうするのだろう
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