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2025年05月10日

【カミマイ7】偽りの逢瀬

右手の腱鞘炎の調子は良くなったり悪くなったり…というか
親指の付け根部分の炎症はなくなっていませんので
いかんともしがたい状態です…@@

うおおん!;;

★★★

水堂とらくファン作品・空の民草の民シリーズより


幻想水滸伝2【カミマイ】妄想7

カミュー×マイクロトフ

偽りの逢瀬




団長服の青を剥ぎ、マイクロトフを抱いたことは数えきれないほどある

逞しい筋骨の白い肌に無数の花を刻み、咲かせ、手のひらに相手の屈従の証を強いる

甘美と思われる夢想は、すべてカミューにとって悪夢でしかない


親友だと自他共に認めている者を下し、おのれの体の下に従える光景は、正に悪夢だと言って差し支えがなかった


自分以外の誰にも組み敷かれたいわけなどもちろんないが、マイクロトフを自らの劣情の匂いに浸して嗜虐を満たし、悦楽を得るほどカミューは下劣ではない

何よりもマイクロトフが許さないだろうと考えた

そもそも相手は一時と言えど、恥を受け入れて生きながらえる騎士ではない

自刎を許さぬ規律のマチルダの騎士であるマイクロトフに自害の作法や心得があるのかどうかはともかく、殺せ、と相手は言うはずだ

辱められた後に、絶命を願う

そんなものを、未来を、カミューは手に入れたいなどと思ってもいなかった


あの魂ごと食らいつくしたい

黒のぬばたま、額に輝く指導者の光輝を

感覚も思考も、肉体も何もかも


それは衝動であり情動だったが、もっと奥底から焦がれるものだ

でなければ無理強いをしてでも、それこそ支配する側に立てば済むだけの話だ

しかし、欲しいのはそんな安いものではない



マイクロトフは、カミューから視線を外さない

自らを揺さぶり細胞の隅々まで汚し動き続ける男を、透明な眼で見つめ続ける





どこか調子が優れない様子の少年に気づき、マイクロトフは部下にするように声をかけた

厳しさを欠いた平坦な声調だった


「今日は早めに休んだらどうだ」


なぜ?、と端的に返され、至極尤もな意見を述べる


「おまえは騎士ではないのだし、ここに詰める必要がないからだ」


青騎士団のいる場所で仕事をするのはその任に当たる者だ

おそらく未就業者である異郷の衣装に身を包むカミューには付き合う義理はないはずだからだ


「私が居てはお邪魔なのかな?」


「そういう意味ではない」


きっぱりと断言する

マイクロトフの側には隠すことが何もない

見たままをそのまま告げるだけだ

そのどこにも、背徳や後ろめたさはない


「普段よりも居心地が悪そうだからだ」


それに対するカミューからのいらえはなかった



良くない夢を見る、と、少年の口からぽつりと独白が聞こえてきた


マイクロトフにとっては今日中にしたためなければならない書簡と向き合っている最中での会話だった

話をしながらでも仕事の手は休めない


「…悪い夢の対処法は知っているか?」


「袋の中に吐き出して、それを燃やして捨てる」


「……………」


カミューの故郷では子どもにそう教えるのか、と青年は嘆息したようだ

実に簡潔で具体的な内容だったからだ

幼い頃から育ての親である実の祖父の元で読書を嗜んでいたらしきマイクロトフは、その中に書かれていた一例だが、と断ってから言い継いだ


「誰かに聞かせたあとに忘れればいい」


「聞かせられない、…と言ったら?」


そんなにひどい内容なのか?、と思わずその白皙の頬に苦笑が浮かんでしまったようだ


言えるわけがない

カミューの友情と尊厳に関わることだ


マイクロトフがふと、持っていた筆の動きを止める


「…では、つらいままでいるのか」


「…わからない」



夢を実現すれば、とカミューは言った

自らに確認するような語調だった

実際の現実にすれば忘れられるのか?、と



「中身によるのではないか?」


実現可能な夢というのは確かにあるだろう

しかし見たのは悪夢だったはずではないか?


じっとこちらを凝視するカミューは、何かを思い出しているようだった

気恥ずかしさもなく食い入るように見つめられ、マイクロトフの方が気後れしてしまうような

そこにあるのは、無限の魅力ある虚無だった



やがて、駄目だ、とカミューは言った

捥ぎ取るように、マイクロトフの上から視線を無理矢理別の場所へ移した


「カミュー」


マイクロトフは筆の先が乾かないように何度かインクをそこに馴染ませる動きをしてから、このあと時間はあるか?、と尋ねた


「おまえに余力があるなら、俺の馬を見に行かないか?」


馬の話でもしてはどうかと問われ、カミューは聞くなり幼くとも端正な顔に苦笑いを浮かべた


軍馬の産地としてもマチルダ騎士団領は有名だ

駿馬との聞こえの高い馬を数多く産出している

赤騎士団長であるカミューも、任に就いた際に白騎士団長の名で名馬を一頭贈られている

対外的に見劣りしないよう、良き手駒になるよう、物言わぬ公然の賄賂であったのかもしれないが、生き物の命そのものに罪はない

マイクロトフの持ち馬は騎士になる前にカミューの見立てと自分の足で見つけて、今は二代目となっていたが、共に幾度も戦場をくぐり抜けた列記とした相棒だ


カミューの故郷であるカマロはグラスランドにある領内だ

当然、人々の往来は馬やその他の動物が引く車が担うことになる

年少の頃から働きに出ていたカミューにとって、それらの世話も乗馬も、そして目利きも大したものだ

昔から働いていたくらい元々が利発であるし、種々の人々の対応に細心を払う手腕に長けていた


「いいよ、マイクロトフ。行こう」


快諾した少年の表情は、見えない靄が晴れたように健やかだった


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タグ:カミマイ
posted by 水堂とらく@はりこのとら紙老虎 at 07:34 | 日々の更新2025
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