★★★
水堂とらくファン作品・空の民草の民シリーズより
幻想水滸伝2【カミマイ】妄想3
カミュー×マイクロトフ
少年カミューとの出逢い
初めてマイクロトフが少年の姿をしたカミューと対面したのはいつだったのか、とうに忘れた
始めは、子どもの幽霊か妖の類と思い、取り立てて気にはしなかった
彼が育ったロックアックスでも昔話やおとぎ話の内容には事欠かない
生憎それらの知識を幼年期に摂取しなかったマイクロトフは、そんな言い伝えもあるのか、という程度の感慨しか念頭になかった
この歳になって怯えることなどないし、遭遇したところで肝を冷やすような繊細さも持ち合わせてはいなかった
マイクロトフが気がつきながら見て見ぬ振りをしていた理由のひとつには、何かを探しているかのように、その人物が館内の廊下を通り過ぎるだけだったことも挙げられた
とはいえ、すれ違うだけとはいえさすがに管轄の騎士団が務める部署の最高責任者だったマイクロトフは、警備に当たる騎士たちにその場で異常はないかどうかを何度も確認した
しかし部下たちの口からは、平常通りです、の一言しか常に聞こえてこない
マイクロトフの背後では、カミューによく似た少年が探すような素振りで周囲を窺い続けているにも関わらず
どうやら自分にしか見えていないのだな、と悟った超現実主義であるマイクロトフは、実害がないのならば放っておくとの自身の方針の下、カミューに似た存在を意識の外へ追いやるよう努力した
けれど数日経ったある日、軽いため息を吐きながら執務室にやって来て、そこにあるソファの上に当たり前のように腰掛けた少年に、思わず声をかけてしまった
それほど、不意の来訪者が落胆した様子だったからだ
「失せ物は見つからなかったのか…?」
カミューに似た少年は、わずかに憔悴したような顔つきだったが、声色には変化がなかった
私よりもあちらが好もしいらしい、と、大人びた口調が返る
こちらからの呼びかけには、反応を示すらしい
しかし他の者には姿形は疎か、声も音も聞こえないようだ
マイクロトフの中では常識的に幽霊を相手に深入りしていいという道理はなかったのだが、返答の内容を聞いてさすがに心配になった
カミューとはいえ、まだ子どもなのだ
「…恋煩いか何かは部外者である俺にはわからないが、あまり無理をするな」
そう言って慰めると、ありがとう、マイクロトフ、と『カミュー』は言った
その日からカミューは探し物をやめ、マイクロトフがひとりで詰める執務室に顔を出すようになった
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