豹變王は元気です(笑)これからもずっと元気でやっていそう…!
一応になりますが、明日が『現代版妄想』更新の最後になります。ご了承いただけますようお願いいたします。
現代版妄想・書き下ろし9
龍飛王が家と店の手伝いを雇ったんだと豹變王に話したら、途端に変な顔をされた。
大丈夫なのか?、って端的に訊かれたので、何が?、って鼓翼は聞き返したんだよね。
豹變王の言わんとしたことが理解できなかったから。
豹變王は鼓翼と一緒に街中の大きなストアに買い物に来ていて、一週間分の食糧を入れたカートを押す係をしていた。
鼓翼は、アレとコレも安いなって言って、旬の食材をポイポイとカゴの中に放り込んでいく。
食費は全部、当たり前だけど豹變王持ちなので遠慮はない。
「飯くらいは財布を気にせず食いてぇ」との豹變王の方針だからだ。
実際稼いでいるし※仕事には実直※、あまり遊び歩かないし※そうでもない※、蓄えよりも稼ぎそのものがしっかりしているおかげかもしれない。
「浮気とか?」
「へ?」
誰が誰と?、って鼓翼は素直に首を傾げた。
「オーナーとその家政婦」
龍飛王と左右が。
鼓翼は翠の眼をパチクリとさせた。
「それはないんじゃないか?」って、鼓翼は気楽に返答した。
どう考えても龍飛王が自分以外に手を出すわけがない。いや、知らんけど。
毎日毎晩毎朝龍飛王に可愛がられているというか、しょっちゅう致されてる身としては、そんな暇はないだろうと実感するからだ。
多分、かなりの高い確率で、それはないと鼓翼は考えた。※浮気はない※
「奴さん※龍飛王※にその気がなくても、雇われた側がお金に目が眩んで惚れたりするとかは大抵あるだろ」
寝取りとか?、って、結構真面目な顔をして豹變王は言った。※豹變王は紫眼なのかな※
何かのドラマの見過ぎかな…?
ええーって、鼓翼は思ったんだよね。
左右は家事のプロの家系であることに誇りを持っていたから、そんな契約違反※?※まがいのことをするかなぁって普通に考えたから。
「わかんねえぜー。惚れた腫れたは理屈じゃねえし」
事実、豹變王はいつまで経っても虎嘯王のことを諦めきれない。
それを思うと、確かに理屈じゃないのかもしれないが。
本当に親身になって心配をしているのか、よからぬことを鼓翼に吹聴しているのか判断しかねたけれど、龍飛王は見た目もいいし…と、龍飛王に惚れている鼓翼はなんだか次第に不安になってきた。
自分に魅力がないと思い込んでいる※龍飛王のことが好きになり過ぎて※鼓翼は、左右は自分よりよっぽど好青年な見た目だし※鼓翼は仔虎※、仕事もできるし、業者への采配も手慣れているのかめっちゃうまい。
指示が的確だし、丁寧でわかりやすい。
家事のプロを公言しているだけの実力がある。
龍飛王も左右の一族の力を認めたからこそ雇ったのだろうし、二人が互いに好意を持つこともあり得るのかもしれない。
あり得ない。
…と、虎嘯王と龍飛王がその場にいたら断言したと思う(笑)※虎嘯王は豹變王の突飛な性格を見抜いてる※
鼓翼は無理に元気な風を装って、「それはない」って言い聞かせるように繰り返した。
豹變王は「ならいいけどなー」って他人事のように言って※龍飛王は義理の息子婿※、一旦その場は落ち着いた。
問題はないとは自身で言いつつも、豹變王のマンションで作り置きを完璧に整え終えて冷蔵庫の中にしまってから、鼓翼は真っ先にうちへ飛んで帰った。※虎翼だけに※
日曜日なので、龍飛王は在宅している。
今日は左右の勤務日ではないけれど※人がいない家を守るお仕事なので※、まさか、と思って走った。
最上階まで止まらない直通のエレベーターの中で、自分が豹變王とデート※?※している間に二人で密会して、え…えっちなことをしていたらどうする!?、って、わけもわからずに焦った。※鼓翼は大分混乱している※
浮気はない。
浮気はないけど…でも、左右が龍飛王に惚れないとは言い切れない。
あんなにかっこいいし※龍飛王に惚れ過ぎ※、無口で無愛想で昏い性格で、とっつきにくいし甲斐性はないけど、龍飛王はイケメンで底が知れないくらいの知識の王だし、資産もありまくりだし、仕事人間だし※王だけど※、もしかしたら、って考える。
めちゃめちゃ困った。推測だらけなのに何が正しいのか、鼓翼の中で区別が付かなくなって。
玄関から急いで居間に入って、ソファに腰掛けて論文を書いてたのかな? …寛ぐ龍飛王の所に足速にかけて行った。※広い!※
龍飛王は鼓翼の常ならぬ姿に、ちょこっと切長の双眸を見開いたみたいだ。
特段帰宅を急かした覚えはないし、急ぎの用事を頼んだわけでもない。
ゆっくりと休日を過ごしていたと思っていたので、どうかしたのかと少し思ったのかも。
「あ………」って、鼓翼は言い淀んで、体の脇でぎゅっと拳を握った。
何を焦ってるんだろう、って自分でも重々訝ったんだけど、なんか、無性に心配になったから急いでうちに帰ってきてしまった。
龍飛王は鼓翼にとりあえず、外から戻ったのなら手を洗ってうがいをして来いと、真っ当なことを言った(笑)※先生かな?※
鼓翼は、うん、って短く返して洗面所へ行き、ジャケットを脱いで戻ってきた。
龍飛王の側に行って、すぐに隣に座った。
くっ付きたかったので、肩を密着させた。※かわいい※
龍飛王は腕を回すことはしなかったが※鳳舞王は虎嘯王の腰を抱いたりする※、何かあったか、って、いつも通りの低い声で問われたので、鼓翼は正直に話をした。
豹變王に唆されて、気になったんだって。
それを聞いて、龍飛王としてはかなり珍しく、眉間に綺麗な縦皺を一本浮かべた。
後日、鼓翼の店に呼び出された豹變王は、龍飛王に懇々と説教をされた(笑)
龍飛王に諭されてる時の豹變王は、先生に叱られる生徒みたいでね。
鼓翼は豹變王の親になったみたいに、なんだか複雑な心境でその光景をカウンターの前の調理場から見守る羽目になった。※龍飛王と豹變王はカウンター席の椅子で向かい合ってた※
要するに、埒もないことでわが子※?※を不安に陥れるなと説かれたわけなんだけど。鼓翼のために。
へーい、って最初は適当な返事だった豹變王も、懇切丁寧に道理だけを説く龍飛王を相手に、いつのまにか「はい」って神妙に受け答えをするようになったりして。
龍飛王は決して感情的にならないから話を受け入れやすかったんだと思う。※言葉に情がないから※
その後、恋バナのついでに事の経緯を耳にした虎嘯王からも怒られて(笑)、その時のことを話す豹變王はめちゃめちゃ楽しそうだった。
虎嘯王相手には元々怒られ芸だったし。
豹變王って可笑しいよな、って改めて鼓翼はやっぱり思ってしまった。
豹變王は、根っから虎嘯王のことが好きだからね…!
なんか豹變王って大人なのに意外とやんちゃをするから、龍飛王と自分の子どもみたいだなーって、鼓翼はこっそりと思ったりなんかした(笑)
左右も言ってたんだけど、雇用主自体は龍飛王なんだけど、直接の上司は鼓翼だから、鼓翼に気に入られることが採用の大前提で、左右は鼓翼のために龍飛王が探してヘッド・ハントしたんだよね。
なので左右も雇用主※給金を出す龍飛王※には直接会う気はないし、会う必要もないと考えていた。
鼓翼の補佐をするためだけに雇われたわけだし。
『本編』でも昔から中央の地に就く王を補佐する一族だったから、龍飛王とは無関係だし。
…ちなみに現代版妄想では最初「鼓翼さま」って呼んでたんだけど※本編では帝だし※鼓翼本人から改めさせられて、今は「鼓翼さん」と左右は呼んでいる。
最初は「呼び捨てでいいぜ」って鼓翼から言われて困ってたけど(笑)
だから問題はないですよー※龍飛王とは会うことはない※、と左右から聞かされて、鼓翼は安心したのと同時に、龍飛王が自分のためを思って、助っ人として家事のプロである左右を見つけ出してそばに付けてくれたんだなって思うと、さらに胸がキュンキュンした。
でかくてふっかい龍の加護に包まれてるんだな、というか、見守られているんだな、って思うと、なんか訳もなく体が熱くなったりしてね。
頑張って龍飛王と妊活するぞ!、って思った(笑)
つづく!
ちなみに、龍飛王たちが世界旅行に出掛けたあとの長期間の留守を守ってくれる※うちの掃除をして維持してくれる※のが左右だったりした。本当の意味でのハウス・キーパーで、そのプロなんですな。
非常に優秀だし、仕事をする以外の欲がないし※お仕事好き※、鼓翼と自分のために※ほぼ鼓翼のためだけど※龍飛王が見つけて引っこ抜いてきた人材※生粋の鬼属だけど※だったり。鼓翼の補佐としてはこの上のないほどの適役です。
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