龍虎の24
オリジナル【四人の王】妄想より
龍飛王×鼓翼
亀兆王とおしゃべり
「なんか食いたいもんある?」
「野沢菜漬け」
即答がある意味、気持ち良い
龍飛王と鼓翼が出逢うきっかけにもなった、亀兆王の食欲には逡巡がない
あ、でも、今は旬じゃないかしら…って、食べたいものを言ってから、口元に綺麗な彩りが施された爪を当てて考える※秀才なのに※
「良いって。食いたい時が『腹の旬』ってね」
そんな言葉はないけれど、鼓翼は柔軟に対応する
亀兆王のご飯好きは、龍飛王と通じるところがある
回答は常に明確だし、亀兆王は龍飛王と違って食べたいものがたくさんあるようだ
悩んだ末に答を渋られるよりよっぽど良い※龍飛王は鼓翼が好物だし※
「ご馳走を期待しても…?」
期待していいのかと黒髪の美女ににっこりと微笑みながら促される
鼓翼でなかったら照れたりはしないだろう
何しろ凄腕の秘書なので※龍飛王の※
鼓翼は龍飛王とは違った意味で亀兆王の食い気に弱いので、なんだか浮き足立った風に了解の意を示した
…鼓翼は誰もが認めるくらい、美形に弱かった(笑)
亀兆王は自他共に認める死の王で、絶※たえ※の王と呼ばれている
同時に安寧も司るので
要するに一切が絶えれば世は事もなしとも解釈できるし
平穏と死が表裏一体、または同義であるとも理解できる※全てが絶えれば事件も起こらない※
「私の機嫌を損ねたら絶えますよ」
と、亀兆王は平然と口にする※表面上だけは※
威嚇のように聞こえるかもしれないそれは、王自身ではどうにもならない真理である一方で、亀兆王にとっては他人事であるのかもしれない※王ゆえに※
けれど自らの心一つで、世界を、時を、絶えさせるわけにもいかない
なんか、ものすごい宿命というか業のようなものを背負ってるな…とは思うんだけど、亀兆王にとってみれば生まれた時からそれが当然だったのでなんとも思わない
わが身の不運を嘆くことも王としてなければ、それそのものが絶えに繋がるかもしれない
…という事実は真実だが、亀兆王はかなり普段からにこにことしていた
表面上は※こわい※
でも、鼓翼も虎嘯王もそんな亀兆王の心根を自然と理解できるのか、まったく気にしない
かなしみを隠しての微笑かもしれないけれど、彼女の明瞭で快活な受け答えに水を差すような事柄ではないと思ったからだ
虎嘯王とは連絡を取り合ってるんだよな、って鼓翼が尋ねる
四年に一度のスポーツの祭典という名の大舞台が先月か先々月にあったので、その予選のビデオを取り寄せてネットを通してともに視聴していると言う※通話しながら※
実は休みの日に、亀兆王は実際に大会に足を運んでいた
虎嘯王は行けなかったので、彼の分もしっかりと観戦してきたと
行動力が半端ない
鼓翼顔負けの※鼓翼以上の※才女だし、判断力も申し分ない
亀兆王は、虎嘯王と揃って陸上競技オタクだった(笑)
二人は仲良し…! ※ガチ親友※
なんか彼女※亀兆王※から聞いた話なんだけど、普段は寡黙な虎嘯王が亀兆王とはよく話をするらしい
二人の共通の趣味が虎嘯王の興味のあることだからなんだろうけど、終始朗らかであるらしい※亀兆王談※
競技のルール変更や審判についても話し合ったりするし、最新の世界ランキングや個々の選手の成績についても情報交換をして弁論を交わしたりもする※そこまで!?※
親友同士だし、一緒に競技を観戦した時には白熱した応援とかもするんだろうなーって、鼓翼は思う
鼓翼には親しい友がいないので※今は※、すべて想像でしかないけれど
で、亀兆王に食事をご馳走しながら※中天の予約客が亀兆王や豹變王の時もある※、鼓翼は龍飛王の話もする
大抵は亀兆王から振ることが多いけど
なんといっても鼓翼の場合は、龍飛王の話題になりそうなことは夫婦関係のネタくらいしかないからだ※猥談になってしまう※
あ、でも、龍飛王が贈り物で貰った箸があったんだけど、…と珍しく鼓翼の方から口を開いた
「めちゃくちゃいいものなんだけど、重くてさ…」
純度の高い、ものすごいもので作られているらしい
装飾もごってりしてて、宝石ももしかしたらはまってたのかな…
重量があるなら手が疲れるだろうに、龍飛王は平気な顔をしてその箸を使って麺類を啜ってたなぁ…と回想する
食洗機には使えるらしいからいいんだけど※それもすごい※、もうちょっと贈る側でなんとかならなかったのかな、っていう感想を亀兆王に漏らした
「…実用品として贈ったものではない可能性も」
亀兆王も、龍飛王なみに豪快に麺をすする※今日はつけ麺を作った※
「…………」
「知らないわけがないので、知っていて使ったんじゃないかしら?」
用意された数々のトッピングを特製のスープにじゃんじゃん加えて山盛りにしていきながら、亀兆王は呑気に語る
「じゃあ、あれは茶目っ気なのか…」
鼓翼は苦笑いをしていたけれど、なんか龍飛王にもかわいいところがあるんだなって思ったのかもしれない
「単に鼓翼の作ったご飯を早く食べたかっただけでは」
亀兆王の返しはあっさりしたものだ
途端にボッと鼓翼の顔が真っ赤に染まって、そっかーって言う
カウンター越しで高さが少しあるので、鼓翼は背が低いし、耳から上くらいしか座っている客からは見えない
亀兆王はまったく顔色に変化がなかったけれど、鼓翼のご飯は食べると元気が出るものね、って言った
「そう言ってもらえるのは嬉しいな」
と言っても、龍飛王は別の元気を得ているけどね!! ※性欲※
亀兆王は嬉しそうな鼓翼の顔を見ながら、きれいにぺろっと平らげた容器を見せて優雅に微笑んだ
「おかわり」
亀兆王は龍飛王並みに気持ちよく食べてくれる王だった※食べ方もしっかりしてテキパキしている※
デザートもあるぜーって言って、鼓翼はスイカまるごと一個を使った、シャーベットとゼリーとパフェとアイスをテーブルの上に出してさ
それが全部溶け終わる前に亀兆王が丁寧にひとつひとつを平らげちゃう
すごいなーって思いながら、鼓翼は亀兆王を気に入る龍飛王の気持ちがなんかわかるような気がした
そしてお勘定を払ってお土産を受け取り、クールに仕事へと戻る亀兆王(笑)※メニューの規模も予算も自由に決められる※
亀兆王ってどことなく龍飛王と似てるなぁ…と思う鼓翼だった※昔龍飛王が育てた娘なので※
亀兆王は謎多き創始の闇が育てた娘ですからな…!
亀兆王自体にはこれまであまり触れてきませんでしたが、かなり深い存在なんじゃないかと思います
死の王、絶の王である彼女をずっとそばに置いていた本編の龍飛王は
もちろん自分の体が弱っていたからという理由もあるし、仲が良かったというのもあるにはあるんですが
亀兆王自体が龍飛王のそばにいた理由がそれしかないんですね
龍飛王も彼女に居てくれと頼んだわけではなく、亀兆王がそばで世話を…というか、完全体ではない龍飛王を見守っていたのかな
まあ、鳳舞王側が優勢だったのは、龍飛王の体を見れば一目瞭然だったし※もがれたので※
放って置けなかったというのはあると思います
虎嘯王が龍飛王側についたのは、亀兆王つながりですね※亀兆王との友情ゆえ※
亀兆王は龍飛王に育てられた四番目に生まれた王で、北の地を龍飛王から譲られ任されたのですが、北自体が死の国だったと言われています
で、中央は『死者の国』
この二つがどう違うのかというと
死んだ人が鬼属になって住むのが死者の国で
死の国、死の大地はそれそのものが無または生き物がいない、絶えている土地だという意味だと思います
ゆえに亀兆王は死の大地を支配または象徴する死の王であったということになります
死人の国は冥界や冥府と呼ばれて大抵そこには支配者がいますが、オリジナル【四人の王】の自分の頭の中ではそうしたものはありません
人は死ねばみな鬼属になる、というのが伝承の時代にあった…語り継がれていた、と自分の中で決めているので※設定で※
そんで鬼属を鎮めて平定しないと世界がわやになる…実際に鼓翼の生まれた時代ではそうなっていたようです
鬼属についても少し説明をすると、左右は生粋の鬼属で、人ではないんですね
鬼属は死んだ人間のこと…死者を指しますが、人がいなかった…または少なかった頃に中央の土地に生まれているのが左右の一族です
死者の国になる前の中央の土地に住んでいたというか
そして左右の一族の長は代々すべての記憶を受け継いでいたりします
そういう意味で中央の土地を治める王は、左右の一族から知恵を借りる必要があったわけなのですが、豹變王はなぜか長をころしているんですね※とほほ…※
先代を豹變王のフラストレーションでころされたのも記憶として受け継いでいるため、本編の左右は豹變王を怖れています※豹變王は自由すぎる※
けれどそののち、左右が仕えるべき相手が鼓翼になったので、左右は心底からホッとしたし、帝の両腕となって鼓翼をよく支えてくれました※ゆえに左右※
…と、話が長くなるのでこの辺でやめておきますが
亀兆王は含みのある王だと解釈していただければ良いと思います
死の王・絶の王とは、全てを絶やす王のことで、能力としてもそうですし
絶えることそのものと、絶えのすべてを象徴している王でもあります
死とは、絶えること
それが亀兆王です
そして、虎嘯王のガチ親友…!
二人は仲良し…!
…というのが後にも先にもオリジナル【四人の王】の真実です(笑)
死の王と勇武の王は仲良し!
ってことで、また何かの機会に亀兆王について語れることがあれば、もう少し内容を深められるのではないかと思います
龍飛王については鼓翼のおかげで段々とわかってきましたが
現時点では掘り下げていない豹變王と並んで、亀兆王も謎多き王という印象です
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