【裏本・創世】の中でまとめられていますが
羽楫の名前というか言葉の意味は
羽のような舟を漕ぐ櫂※オール※のことなので
鼓翼の足※翼※としては最適な人材なんですね
…つまり、移動が速い!?
オリジナル【四人の王】妄想より
番外・龍飛王×鼓翼前提
羽楫と鼓翼
羽楫と鼓翼は外見も性格も中身も性質もまったく違うんだけど、たったひとつだけ共通点があったので、殊に羽楫の方から鼓翼を気に入っている節がある
本来であれば、気が多くて面食いで※ひどい※、羽楫から見れば生真面目で熱心とは言い難い鼓翼を
真面目が服を着て歩いているような優等生タイプの羽楫が気に入るはずがない
鳳舞王の力の発現である聖紋を持っているから従っただけで※監視※、道行きを共にすることも、況してや中天で力を貸すこともないはずだった
鳳舞王絡みだというその一点のみで、羽楫は鼓翼に関わっていたはずだったが
自分と同じように南と西の血の両方を持っているという事実が、羽楫が鼓翼に対して唯一同情した点だった
羽楫の前身は、鳳舞王の配下であった南の者と、虎嘯王の娘であった※正確には眷族※西の者の血が流れていた
母の記憶はおぼろげにしかないが、羽楫にとっては西の血が体に流れている…あるいは、自身を生んだ母親が西の地の出身であるという現実は、誇りと呼べるような代物では到底あり得なかった
羽楫は翼ある者であることが自らの存在意義だと解釈していたので※これは南の者の特徴かもしれない※
幼い頃に他界した母の名や面影や声をはっきりと知覚しながらも、心のどこかで迷惑で邪魔なものだと思っていたのかもしれない※複雑※
母は羽楫に厳しくも優しかったと思うし※大分優しかった※、自分を常に気遣ってくれたと思う
けれど翼ある者である羽楫にとって、おのれの生きるべき土地である南において、その他の土地との血縁など無意味なものでしかない
むしろ無様であると思えたので※真面目か!※、心の底から歓迎できるものではなかった
一方の鼓翼も、スケールそのものが大きく違っているとはいえ
南の支配者にして創世の王である鳳舞王と、西の地を預かる勇武の王・虎嘯王の力を持っている
二人の間にできた子である…とは正確には言えないのかもしれないが※鼓翼は二人の力を持ったまま箱に入れて流されていたので※、鼓翼の中にも異なる二つの土地の血が流れている
なので羽楫は鼓翼に対して自分と同じような境遇であることを
一方的にではあるが同情したし、親に棄てられたも同然の出生を憐れみもした
でも鼓翼はそんなこと、なんとも思っていないんだよね(笑)
聖紋と金創の使い方も分からなかったし、この二つを持っていると理解したのも結構後になってからだと思う※羽楫たちは気づいていた※
鳳舞王と虎嘯王の名前も伝説上の王だという簡単な知識しかなくて、自分には無関係だと思っていたから※無知で無垢※
なので、これは羽楫が個人的に思っていることでしかないのだけれど
羽楫は鼓翼の兄代わりみたいな存在になれればと思っていた
差し入れ持ってくぜーって、鼓翼からのショートメッセージが音声で入って、羽楫は愛機のメンテナンスの作業の手を止めた
鼓翼は自分で美味いと思ったものはどんどん食べさせたい質※たち※らしく
また、羽楫が作業に集中するために普段から適当に※失礼な※食事をするだけだと知ってからは、仕事以外でも会いに来ることが多かった
宣言後にタクシーでわざわざやって来るので、こっちは運び屋として鼓翼に雇われているのだからあべこべだ、と羽楫は思った
帰りは送っていけるように準備はしているが、鼓翼は「自分の好きでやっているから」、と言って取り合わない
まったく合理的ではない理由だったので、羽楫は鼓翼を諭すよりも自分から行動する方が早いと考えた
「俺が受け取りに行く」
だからおまえ自らが訪ねてくる必要はないと
鼓翼は遠慮かな?、と少し思ったんだけど、羽楫がそんなはんかくさい※半人前という意味※ことを言う奴じゃないとわかっていたので
じゃあこの時間に受け取りに来てくれよ、と言って、端末に入っているスケジュールを羽楫に宛てて送信した
それなりに気を回せる奴であることを改めて実感して、羽楫は満足げに口の端を持ち上げる
今は借りている倉庫の中だったが、シャッターを全開にして、羽楫は煙草を一本取り出した
鼓翼よりも風下に回って、銀色のライターで火を点けて一服する
最近本数は減らしている、と羽楫は言った
鼓翼が、健康のためか?、と尋ねた
「飯の味がわからなくなるからだ」
めっちゃ合理的な回答に、どこかの誰か※龍飛王※を思い出して、鼓翼は破顔した※タイプとしては全然違うんだけど※
「そんなにおかしなことか?」
羽楫は吸っていた煙草の火を携帯灰皿の中で揉み消してから柳眉を持ちあげた
大方、味のわからないような飯の食い方をしてきたんだろうなぁ…って、鼓翼はこれまでの羽楫の生活を頭の中で想像したけれど
「だったらこれからも、差し入れには期待しててくれよ」
めっちゃ美味いもんを作って、そのうち煙草なんかとはおさらばさせてやるぜ、と豪語する
「それは不遜だな」
無理だって羽楫は言った
まあ、煙には常習性があるからなぁ…、とは鼓翼も考えたけれど、新たな慣習を上から被せてやればそのうち体が忘れてしまうんじゃないかとも考えた※楽観的に※
けれど羽楫は鼓翼に雇われてから、何台か…というか、ほとんどの愛車を手放したそうだ
信用できるところに払い渡して、代金を全て貯蓄に回した
諸々の整理をしたことで、羽楫自身が身軽になったとも言える
あれだけ大事にして、自身の相棒たちを自慢をしていたのに
なんでだ?、って神妙な顔をした鼓翼に問い詰められたので
「仕事に専念したいからだ」と羽楫が答えたら、ぶふーっと鼓翼が噴き出した
全然変わってねえなーって思われたのかも
一つのことに真っ直ぐで、それ以外を中途半端にできない性分
羽楫はほんとに自分と違って真面目だよなーって、鼓翼は思う
「今は、自由なだけだ」
羽楫はそう言って、鼓翼のまあるい頭を撫でた
羽楫は鼓翼の兄貴分だったというお話※深層心理で※
中天では腹心の一人として落ち着きましたが
鼓翼はそうだとは※兄貴っぽい※思ってませんがね…!(笑)
中天の帝の鼓翼にとっては
羽楫も豹文も霏微も左右も、上も下もない仲間ですな
…配下ではないという
鼓翼が一番自由な発想で、そのままの姿で中央の地を統治していたんだなと思います
そもそも一人では中央の土地は治められなかったし
そして唯一好きになったのは、龍飛王…! ※霏微は好きだけど友達※
ちなみに書いていて思ったんですが、羽楫は母のしんとう※漢字が出ない※のことを嫌っているというよりは、彼女のことをつぶさに思い出したらマザコンになりそうだから
羽楫は自身を『翼ある者』だと強く戒めている節がありそうです※要するに鳳舞王への忠誠にそれが強く現れている※
端的に言えば鳳舞王の命によって南の地に攫われた挙句に配下の子を生まされた彼女のことを思い出したら、息子の羽楫にとってはかなしい話でもあるので
羽楫はしんとうの死を素直に悲しめないくらい、プライドが高いのかなぁと思います※鼓翼もそれはよく理解している※
しんとうは自分の意思で羽翅※羽楫の父親※と結ばれましたよ…!、とは羽楫には言ってあげたいし、本人も知っているのだとは思うけど
…しんとう周辺は、やっぱりかなしいお話かもしれません
★PR【四人の王シリーズ】バック・ナンバー
[現代版妄想]【裏本・創世】四人の王〜王たちの蜜月〜
[現代版妄想]【裏本・孕ませ】四人の王〜王たちの蜜月〜
[現代版妄想](ファイナル)【裏本・創始の闇】四人の王〜王たちの蜜月〜
【本編】四人の王・秘史〜鳳舞王・王たちの蜜月〜
DLsiteがるまにさんで、サークル・はりこのとら紙老虎の作品を
買ってくださる方にはありがとうございます!
【PR】
★サークル・はりこのとら紙老虎のオリジナルR18コミックはDLsiteがるまにで【独占】販売中
2024年08月28日
→DLsite直リンク★PC/スマートフォン/タブレット端末/ブラウザ視聴/各種言語の紹介に対応