なんで今頃虫刺されに苦悩しなければいけないのかは謎ですが(笑)
鼓翼や王は虫には刺されないと思う
…左右も羽楫も
生きている次元が生物とは違うので
オリジナル【四人の王】妄想より
龍飛王×鼓翼
夏の独占欲
中天の予約が半年先まで埋まった
…わかっていたことだったので、龍飛王は特に感想を持たなかった
私的な秘書である亀兆王が告げた事務的な内容も含めてすべて予想通りだったので、龍飛王は報告を聞いても※正確には世間話も兼ねた会話※、自分が経営責任者をしているお店ではあるんだけど、おめでたいとも大変だとも思わなかった
そもそも感情がないのだし
亀兆王はもちろん慣れているので気にした様子もない
彼女の分析では、鼓翼の足として雇われた『運び屋』の貢献の度合いが目を見張るほど大きかったらしい
食材の名前を提示して予約を募ったら、早々に予定数が埋まった※中天の経理と予約は亀兆王の担当※
珍しい、ここでしか食べられないものを料理として提供する※予約客の好みに合わせた調理法で※というのだから、一度でも鼓翼の店で食事した者は再三訪れたいと何度も打診して来たし、噂を耳にした者はこの機会に中天の料理を味わいたいと考えた
普通だな、…と龍飛王は思った
成るべくして成った結果だと
羽楫の名が鼓翼の口から出た時も鼓翼の親の縁故だと考えたし※鳳舞王※、あの男…羽楫の忠誠心というか、主人を得たあとのまさに水を得た水鳥の如き活き活きとした活躍ぶりは想像に難くない
元々左右同様に中天の王である帝の下で働くのが能の連中だ
鼓翼と巡り合ってその才覚を遺憾なく発揮したところで至極当然
最良の結果に至ったというのならば、然るべき場所に然るべき人材が配された場合の単なる答え合わせでしかない
それは良い
自然の事象だし
ただ
「鼓翼とイチャつける時間が減る…」
亀兆王は話の締めくくりにそう漏らした(笑)
誰が誰と??…という点に関しては龍飛王は既知だったのでツッコまなかったが、育てた娘※昔は※の口から改めて報されれば認めざるを得ない
龍飛王は無意識に※うそ※、鼓翼から仕事に出かける前にいつも玄関で受け取っている、簡易な包装の包みを開けた
中には手を汚さずに食べられる、栄養食材という名の手作りの焼き菓子のバー※今日はココア風味※が二本入っている
それを、社内で淹れた※龍飛王が※コーヒーとともに食しながら、鼓翼のことを考えた
鼓翼は出来過ぎの子ではないが、伸びやかで比較的柔軟な心と、エロエロな素質を持っているので健全ではないかもしれないが健康な体を持っている
発想が豊かでその上機転がきくし、龍飛王ほどではないが知にも長けている
頭の回転が早いので一を報されれば十の成果に結びつける
…むしろその根気とパワーがある
だから一見した者…規模に関わらず特に経営者などはすぐに鼓翼のことを気にいるし、猜疑心や妬みの心が強い者はひたすら鼓翼の威光というか、極彩色に輝く隠れた二枚の翼を仰ぎ見るしか能がなくなる
敵をつくらないことが、中天の帝の最大の能なのかもしれない
土地を統治し治める者である鼓翼自身には、個としての魅力と、広くて大きな器※翼※がある
まあ、それはいい※知っているし※
豹變王から言わせれば、「無自覚の天然モテだろ※しかもちょっと自覚のない寂しがり屋※」というところだろうが、名君と呼ばれる君主の正体など得てしてそういうものかもしれない
鼓翼は昨夜も今朝も、料理の仕込みや羽楫らに渡す差し入れを忙しそうに作っていた※作るのが好き※
龍飛王は休日以外は鼓翼に無体な真似を仕掛けないので※龍飛王は自覚があってヤッている※、鼓翼が忙しなく頭や目や手や足を動かしている様を、視界の隅で眺めるだけに留めていた
予約客のデータを幾度も確認して、出身や経歴、言語や信教や宗派に至るまで綿密に頭の中に叩き込んでいく
どういった応対をすれば良いのかについて、店主として料理人として、そのプライドにかけて、鼓翼は決して手を抜かない
勉強家で向上心が人並み以上にある点は、凡そ君主らしくはないが
まだまだ知らないことがあるっていうのが楽しいんだよなー、って鼓翼は言う
なので龍飛王は鼓翼に無茶を仕掛けない
要するに独占欲に駆られて、頑張ってお店を切り盛りしつつ主夫業もこなそうとしている鼓翼をいきなり襲って、エロエロの底なし沼に引きずり込んだりはしない
たまにというか必然的にそうしたくはなるけれど※そうなんだ?※鼓翼のためにはならないと知っているので、龍飛王はリビングで一人でいる
そうすると、最終的に鼓翼の方が寂しがるみたいでね
一段落したと思った時には、龍飛王のとなりにお茶とお菓子を持ってやってくる
隣なんだけど、本当はもっとくっつきたいんだけど、少し離れて腰掛ける※遠慮※
夫婦※!※なのになぜ遠巻きにする必要があるのか
龍飛王は問いかけたかったけど、答を知っているので言わなかった(笑)
だって、エロいことしたくなるじゃん!?※直にくっついたら※
…という鼓翼の深層心理を知っているので、龍飛王は何も感じない振りをする※無感動は元々だけれど※
だから、龍飛王は鼓翼の方を見て、目で「こっちに来い」と訴える※威圧※
鈍感な鼓翼は気づくのがいつも遅れるんだけど※照れで※、ん?って遅まきながらこちらの訴えに気がついた時には、ちょこっと目線を伏せて※可愛い※、呼吸を少し吐いてから龍飛王の望むようにする※リラックス※
もう少し詰めて座って、龍飛王の膝の上に手を置く※肉球※
そこではなくもっと適した場所があるだろう、と龍飛王は思う
言うが早いか※言わないけど※力持ちの龍飛王は鼓翼を抱っこして、自分の上質なスーツ※私服※の腿の上に実力行使で座らせちゃう
寂しがり屋はどっちだよ、って同居している豹變王はそんな二人を遠くから見て※うちに仕切りがないので結構丸見え※思うんだけど、それは鼓翼も同じでね
龍飛王って結構スキンシップが好きだよな※鼓翼に対してだけ※って思いながら、足の上に座ってお茶を飲む
お茶菓子は豹變王とお出かけした時に買って来たやつだぜーって言って、龍飛王に食べさせてあげたりしてね
そうこうしているうちに、お気に入りの鼓翼※好物※が食べたくなった龍飛王に齧りつかれる
無防備な首筋に吸い付かれて、あわわって鼓翼は思うんだけど、常にガチの龍飛王の目線にちょっと吸い寄せられて
「風呂入らねえ…?」
二人で…って言外に囁いて、龍飛王に抱っこされたままでっかい浴室に連れて行かれる
その背に向かって、がんばれよーっていう豹變王の声が聞こえた気がした
知の王といえど、独占欲と食欲には勝てない…!
鼓翼は虎嘯王並みの大モテなので※自覚なし※、龍飛王もうかうかしていられないかもしれません(笑)
亀兆王と鼓翼は、遊び友達…!
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