オリジナル【四人の王】妄想より
龍飛王×鼓翼
とある夏の日
「里帰り?」
少年然とした王の口から、キョトンとした声が自然と漏れた
…しないのですか?、と丁寧に左右に尋ねられて、鼓翼は素直に頷いた
ちょうどお店の掃除を終わらせて、二人でお茶を啜っていた時
「避暑と称して南に行くみたいな話を聞いてたし」
今頃二人でバカンスがてらよろしくやってるんじゃないか?、という答に、なぜか左右は赤面していた
まあ、夫婦だし、鼓翼の両親だし
鳳舞王が相変わらず虎嘯王を溺愛しまくっているらしいので左右の想像は間違ってないと鼓翼は苦笑した
年がら年中発情期だと他所様のことは言えないが、実家には自分はいない方がいいと鼓翼は考えていた
自立したし、今は龍飛王と一緒だし、顔を立てる義理はない
そもそもそうした慣習には特に鳳舞王が無関心だし
唯一の兄弟であるはずの龍飛王と仲が大変よろしくないからなぁ…と鼓翼は内心で苦笑する
それは特段大きな問題ではないしいいんだけど
そもそも鉢合わせにならなきゃ問題はないんだし
左右の方は本人が一族の当主らしく、やはりこの時期は付き合いが多めらしい
お土産を親戚分買って帰らなければいけないし、到着した途端に相談事やら指示やらで引っ張りだこになるらしい
左右は有能だし人当たりもいいし世話焼きだし、その苦労が推し量れたので、鼓翼は思わずウンウンと頷いた
「早く戻ってこれるといいな」
休みは長めに与えたのだけれど、切りがよければ帰省からは早めに戻る予定のはずだ
はは…と左右は力なく笑って、幸運を祈っていてください、とだけ告げた
左右…あんなにがんばってくれているから何かしたいなぁ…と鼓翼は思ったんだけど※仕事の付き合いとはいえいつもお世話になっているし※、特段こっちから手を出しても左右に余計な気遣いをさせるだけだよな、と賢い鼓翼はそう判断して何も言わなかった
龍飛王に左右のお給金をあげてくれよ、とか頼んでも意味がないし
そもそも龍飛王が左右の働き分以下の賃金を設定しているはずがない※知の王だし※
龍飛王は頭が良いというかすべてを知っている王なので、ずる賢さがないというか、至って合理的に判定を下す
だから、左右の力量や働きに見合うだけの賃金できちんと契約をしてくれているはずだ
左右は家のお手伝いのプロの家系なので※しかもその当主※、鼓翼のために他所から引き抜くにもかなりの好条件を提示したはずである
左右はなんでか自分を気に入ってくれているけれど※鼓翼が帝だから※、ありがたいような心配なような、そして、左右がんばれよ、って思うと気になった
たまに素が出るのか、「鼓翼様」と呼んでしまうのだけはいただけないが(笑)
呼び捨てでいいぜ、と言っても、ものすごい形相で断固拒否されたので※左右にしては珍しく※、「様はよせよ」と嗜める程度に留めている
でも本当に左右は年上なのに腰は低いし有能だし何でも手配がうまいし、細かいことに気が配れるし、鼓翼から見たら出来過ぎの部下であるような気がする
けれど、左右も龍飛王もしれっと言うんだよね
優秀な人物の下で働くのが適していると
要するに人材としては評価が高いが、使う側の立場としては適していないということなのだろう
優秀な人物…?…のくだりには引っかかるが※鼓翼は自覚なし※、だったら左右が働きやすいような環境を整えてやろうと鼓翼は考えた
考えたけど、実際にはやっぱり左右の力を借りないとできないことばかりなので、鼓翼はちょっと困ったりもした
上に立つ者は余計なことを考えなくていい、とは、龍飛王にも、そして左右本人からも直接言われたけれど、鼓翼自身がやるべきことをきちんと為すことが左右にとっては大事なんだろうと考えた
鼓翼は、何でもできるけど滅多に本気を出さない天性のバランサーである鳳舞王と、何でもできないけど一芸またはニ芸に秀でている超絶美男子※?※の虎嘯王を幼い頃から見ていたので、自身を過小評価している
なので自分が人並み以上に優秀である※すでに大学院卒の資格持ち※ことを理解しながらも、両親ほどカリスマ性もないし、人を惹きつける魅力もないと考えていた
龍飛王に言わせたら、あいつらより余程魅力的だと断言できるのだけれど、鼓翼には馬耳東風
まったく身に覚えのない評価だった
あの創始の闇として畏れられ、誰もが遠巻きにしていたというか、龍飛王が近寄らせなかっただけだけど、そんな孤高の存在である龍飛王をゾッコンに、ズブズブに入れ込ませた自覚もない※無自覚※
俺にそんな価値も才能もねえよって言いつつ、アイディアを練って計画を立てて緻密な計算をしてテキパキと何でもできちゃう鼓翼(笑)
なので、豹變王には面と向かって
自覚がない分たちがわるいが、鼓翼は人が良すぎるからな!!
って言われた(笑)
あほの子、鼓翼※そこは虎嘯王似※
鼓翼は両親がわが子の目の前でも憚らずいちゃつき放題だったので遠慮ばかりを覚えてしまったけれど、実は結構甘えたがりで、誰かと一緒の方が楽しいと思うような子だった
だから龍飛王のマンションの仕切りのないつくりが非常に居心地が良くて
だだっ広い台所で暇なく立ち働いていても、広大なリビングの龍飛王の姿をいつでも見ることができたからなんか嬉しくてね
今だと豹變王もたまに顔を覗かせるから、終始穏やかだった
豹變王が出てくると逆に賑やかになるんだけど、応対する※気のせい※龍飛王が静謐な物腰のままだから全然気にならなくてね
全く相容れない空気なのに、どちらもわが道を行っているから何の波風も立たなかった(笑)
盛り上がりもしないし、盛り下がりもしないから、BGM代わりに話を聴きながら、おかしな二人だよなーって口元だけで笑いつつ、鼓翼は毎度考えた
龍飛王自体、物事のすべての結果と結論を知る知の王なので、話題が長続きしない
けれど豹變王は思いついたことをポンポンと好き勝手に放り出すので、一向に話が尽きなかった※自由の王※
なのでうまく行っているのかなぁ…なんてことを考える
豹變王相手に嫉妬しようにも、あんまりにも両者の話が噛み合っていないので、なんとなく烏の会話でも聴いているような気になってくるのがまたおかしかった
豹變王って変わってるよなぁ…と思う鼓翼だった
豹變王は、自由の王だから(笑)
で、鼓翼が生来の甘えん坊だということを見た瞬間からピンときていた※初対面は鼓翼が一〜二歳くらいの時※、豹變王※龍飛王は知の王だから知っている※
ここは鼓翼に甘えさせてやった方がいいんじゃねえのー?、と適当に思った時は、すぐさまバトンタッチをする
天性の勘で…!
「じゃ、仕事に戻るわ」
鼓翼が二人のために飲み物を用意してきたのとすれ違いに、またヒラヒラと手のひらを振って立ち上がる
鼓翼が淹れたお茶を片手に※もちろん美味いので飲む※、自身のテリトリーへと移動する
鼓翼は仕方がないので龍飛王の隣に腰掛けて、忙しそうだなーって小さく感想を漏らす
龍飛王は豹變王の頭の中を知っているので何も言わない
鼓翼からカップを受け取って口に含む※猫舌ではない※
鼓翼は自分もみんなと一緒に休憩しようと思っていたので自分の分も淹れてきた
それに口をつけながら、ちょっと隣を見ると、龍飛王がこっちを見ながらお茶を飲んでてさ
ん、ってなんか、なぜか赤面する(笑)
いや、してないぞ、断じて俺は狼狽えていない…!、と思ってもなんか顔が熱くなって、お茶が熱かったーみたいな風を装って、手を眼前でパタパタする
そしたらその手首を龍飛王に掴まれてさ
…観念する※ナニを?※
もうちょっとここにいろって龍飛王に無言で言われている気がして、鼓翼は夕飯を作る時間になるまで龍飛王の側にいた
エロいことは、夜中中にしまくった※朝まで※
なんかよくわからない散文でした…!
鼓翼は中天の帝なのにいい奴です…龍飛王に気に入られるくらいだから
あと、豹變王にも気に入られる稀有な王※豹變王は虎嘯王が好きだけど※
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