最近何度も読み返しているのは『半妖の夜叉姫』なんですが
まだコミックが短いから読めるのですが、これが50巻とかになったら
何度も読み返す行為自体が難しくなるので
可能であれば、一部二部とかコミックの
タイトルを変えてくれるといいのかな…と思いつつ…
同じシリーズを長く続けると読み手側が疲れてしまうので
大変だな…と思ったり
某『ワンピース』は100巻まで買ってとまりましたが
本当にここまでくると、完結するまで買わないという選択肢も出てくると思います
自分のオリジナルの受メンコミックも
完結するまで買わないという選択肢も大様にしてあると思いますので
(ネーム自体はもう完結まで手元にあるのですが)
なんかもういろいろとブーメランもある
続きもののコミックに関しての感想だったり…
作者が急逝されて未完で終わったコミックも小説もあるので
やっぱりどこを切っても金太郎あめ…ではないですが
きっちり区切りよく終わって、終わって、…を繰り返すのも
シリーズ物の一つの案ではないかと感じました
永遠に続ける、というのは、作者の遺志をチームで引き継ぐことはできても
読者が永遠ではないので(苦笑)無茶や…と思ったりすることもあったりなかったりです
ということとはあまり関係はないはずですが
カミマイの『空の民草の民』シリーズは徐々に完結へ近づいております…!
★★★
水堂とらくファン作品・空の民草の民シリーズより
幻想水滸伝2【カミマイ】妄想21
カミュー×マイクロトフ
故郷からの来訪者
おや、とカミューは自身の私室で珍しいものを見つけた
懐かしい、グラスランドで使われる公用文字のひとつだ
紙片の表と裏一杯に所狭しと書き込まれている
インクが乾かないうちに何度も書いてはその上に文字を重ねたので、所々に穴が空いており、もはや誰が見ても一様に口を揃えて紙ごみと呼ぶべき物体と化していた
何者の仕業であるのか、男は正しく理解をした上で、久しぶりだねとその犯人に声をかけた
勝手に使ってすまない、と小さな影から声が届く
カミューの机の引き出しから、彼に当てて届けられた書簡を取り出し、そこに書かれた文字を写し取っていたらしい
そもそも意味がわからないのではないかと思ったが、事実そうであったらしい
あとで訊こうと思っていた、と机の前の椅子の上から正直に答える
カミューは思わず苦笑した
「筆跡は誰のものかわかるかい?」
小さな頭のマイクロトフの隣に覆いかぶさるようにして机上に肘をつき、その顔を覗き込む
すぐにかぶりが振られたのを確認し、カミューは手紙の中の一節を読んだ
男の妹の名がその中にあることに気づき、あ、と少年は思い至ったらしい
彼女だ、と言って、しかし同時に首をかしげる
あまりよくは彼女のことを覚えていないらしい
どういういきさつやからくりがあるのかは不明だが、時折カミューの元に姿を現すこの幼いマイクロトフの姿をした少年は、親友と同じ名前と、おそらく彼に近い思考を持っていた
深く追求をしなかったのは、どこをどう解釈しても彼が誰に対しても無害であることと、カミューの生き方や方針にその存在が何の影響も与えなかったからだ
たまに来て、話をして、お茶を飲んだり、時には外へ一緒に出かけたりする
お守りをしているという認識がカミューの中にあったわけではなかったが、ロックアックスで赤騎士の団長を務めていた頃は、せがまれてよく城内を散策したものだ
マイクロトフは男に手を引かれたまま物珍しげに、自分が統括しているだろう青騎士団の詰める館内を眺めているだけだったので、カミューにとっても気分転換にはなっていた
団長としての責務を果たす大きい方のマイクロトフとも会っていたはずだが、予想通り、自分以外は感知できないものの類であるようだ
当初は疲れて幻覚でも見ているのかと考えたが、ひたむきでその上邪気もないことから、もう自然とそういう客人なのだと解釈して受け入れてしまった
その上、小さいマイクロトフは自身にひどく同情的で、何かあるたびに、その言動からは慰めるような必死さを感じた
青年騎士であるマイクロトフがこちらに素っ気ない、他人行儀な態度であれば、何だあれはと腹を立てるし、なじったりもする
大事な親友に対する態度ではないとカミューよりも先に非難をするので、大人気なくこちらが怒る気にもなれない
カミューが感情的になる前に先手を制されているようでもあり、文字通り少年によって慰められている印象だった
ゆえにこの少年の存在は、カミューにとって不思議で奇特な、そして明らかに害のない友だと言えた
「マイクロトフは、私と私の母のことは覚えているんだね」
以前、大分昔の話になるが、彼女の誕生日の贈り物を共に選んだという奇妙な経緯がある
しかし、カミューの兄妹たちに関してはよく覚えていないようだ
ほぼ記憶から欠如しているらしい
…おかしなことだが
マイクロトフ当人は自分の故郷で暮らした経験があるということだろうか
もはや詮索をする気がないので、どんな事情があっても別段驚きはしないが
子どもが好きな対象の名前だけを鮮明に覚えているということは、確かにあるのだろう
好きな、というものの中に、自分の名が含まれていることは光栄だったが
「マイクロトフは、帰りたいと思うのかい…?」
抽象的な問いかけだったが、少年には伝わったようだ
「今はまだ駄目だ」
カミューが心配で、と継ぐ
「私が?」
わずかに目を見開いて少年の頬に視線を当てると、懸命に文字を写生しながら小さな友人は言った
「カミューはまだ、俺のことを気にかけているのだろう?」
だから、心配だと言う
毎度のことながら、重要な部分が完全に欠落している回答だった
けれど具体的ではないおかげで、余計な波風が立たずに済む
思いつきで答えれば、それが答になる
そんな問答だった
「…もはや、習性に近いだろうね」
マイクロトフの身を案じるのは
うむ、とまた小ぶりの頭が頷いた
「俺は石頭なので、カミューには迷惑をかける」
そう言って見上げてくる少年の頬を、カミューは手袋を脱いだ手で優しく撫でた
「あいつにも、マイクロトフほどの殊勝な心がけがあればね」
明らかな皮肉だったのだが、少年ははたと思いついたようだ
足が届かなかった椅子から飛び降り、ばたばたと急ぎ足でドアへ向かう
小柄な姿態が纏う腰帯のない大きめの衣服が、動きに合わせて波のように揺れた
また来る、と言って、カミューの見送りの言葉を待たずに開いた扉の奥へ吸い込まれるように消えてしまった
慌ただしいことは今に始まったことではないので、若干呆れつつも、カミューは笑い出したい気分にとらわれた
少年が残していった書きかけの用紙とペンを元の位置に戻し、引っ張り出された家族からの書簡を片付け、上着を脱ぐため寝室へ移動しようとしたその耳に、ノックの音が届いた
今日はおとないが頻繁らしい
「俺だ」という明瞭な一言だけで、カミューは即座に踵を返した
ジャケットは無造作に机の上に放り投げて
部屋のぬしが扉を開ける動作の一部始終を見守っていた青年の顔を見るなり、カミューの相貌には自然と笑みが刷かれた
そこに見つけたのは、仕事着を脱いで私服に着替えた長身の仏頂面だったからだ
本人にその意識はないだろうが、綺麗に短く切り揃えられた頭髪の下で口を噤んでいると、少々虫の居所が悪そうに映る
けれど目配せをするように視線がかすかに動くと、途端にそれが偶像であったということを見る側に知らせる
黒く濃いまつ毛で縁取られた目元は、凛として艶があり、美しい
男にこの形容を当てはめる行為自体が不遜だと思ったが、マイクロトフはカミューの中で賞賛に値する特別な容姿の持ち主だった
その口で、実家から、と青年は挨拶もなく切り出した
「俺の実家から、執行部宛に酒が届けられていたのだ」
カミューに手渡すのを忘れていた、と訪問の理由を淡々と語る
入口での立ち話も何だから、と言い、室内へ招こうとすると、マイクロトフはためらった
明らかな拒否ではなかったが、すぐに戻るつもりだったのだろう
このあとに予定でもあるのかと問えば、特にないとの返答だった
時間があれば馬の様子を見て、見回りをしてから外で夕食にありつこうと考えていたと
欠かさず街を見て歩くのは、もはやマイクロトフの日課だと言っていい
酒の贈り主についてもついでに問うと、妹が、とわずかに言い淀みつつ最後まで答えた
「仲良くなった騎士がいるらしい。その延長だ」
今回の贈り物の理由は、と
延長上であるとの意味は、お目当以外にも贈ることで本命があきらかになるのを誤魔化した、という主旨なのだろう
周囲に悟られないための、撹乱作戦
彼の実の妹御も所謂適齢期になったのか、と思わずカミューは内心で感嘆した
生まれつき身体が弱く、マイクロトフとは離れて暮らしていたが、その彼女が騎士団で良い相手を見初めたらしい
話もなく勝手に…、と一瞬マイクロトフは兄らしく不満な顔つきになったが、さすがに身内に関わる話題だったので態度を改めた
事情を正確に理解し、マイクロトフが持参した酒瓶を恭しく受け取った後、カミューは、では、と断ってから自身の意思を表明した
「私がおまえに、今夜のお付き合いを申し込んでも?」
構わないかと尋ねると、夜は久しぶりに空いたのではないか?、と逆に問い返された
城勤めはいつものことだが、私的な時間の確保はお互いにまだ難しい
貴重であるならばいっそ、心許せる相手と過ごしたい
そう正直に本音を明かすと、マイクロトフは少し虚を突かれたような眼をして黙り、そして言った
「俺もだ」
俺もカミューと過ごしたかった
あの少年が見せた混じり気のない心と同様の恋人のその純な言葉に、カミューは心底から歓迎の意を示した
腕を伸ばし、引き寄せる
抱きしめた体に、自分の体温が直接伝わるように
何度もなんども、マイクロトフの米神に口づけた
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